「あやしい投資話に乗ってみた」
著者:藤原久敏 (彩図社 2014/8)
書評二回目は前回と毛色の違う投資関連の本書
当時投資に興味がありつつも「投資を始める前に、投資に関する技術の本はたくさんあるけど何か体験談のような本はないだろうか」と考え見つけた一冊
タイトルに投資の入門の入門書とある通り、非常に優しく投資の専門用語もほとんど出てこない
その中で多くの人が思いつく「投資法」を紹介し、さらにそこから会った人々、実際の収益、そもそもどういう投資なのかまでを少しコメディな口調でおもしろおかしく書かれています。
紹介されている投資法も実に様々で王道の株式から未公開株、海外の投資信託(ファンド、要は投資集団へお金を貸すイメージ)はまだ序の口
和牛のオーナーになってみたりFXに手を出したりと様々です
もちろんすべてで儲かったという話ではなく、数百万の損もすれば数万から数十万の利益を得ている場合もあります。
本書が特におもしろいのは「ファイナンシャルプランナー」というある種のお金の専門家が、自らのお金でよくわからない投資法に手を出し、よくわからないまま儲かったり損したりした後から「あぁこういう仕組みなんだな」「投資があやしくなるのはこういうことなんだろうな」と非常に客観的にわかりやすく説明している点です。
ちなみにファイナンシャルプランナーとはお金に関するライフプランニングやリスク管理から不動産、相続や金利のことまで幅広くアドバイスを行う専門職です。
まさにお金のプロフェッショナル
今回この本を紹介したのは、私自身がこの本がきっかけでお金のことを考えるきっかけになり、よくわからないまま放置するのではなく一度飛び込んでみる大切さを本書が教えてくれたからです。
筆者もあとがきでこう述べています。
知識を身につけるほどに怪しい投資は減っていきます。
ただし知識を身につけるには行動が必要です。
本を読む、セミナーに参加するだけでなく実際に投資してみることが重要
本書はまさにその疑似体験だったのです。
事実私の知り合いに、和牛のオーナーになって損をした・得をしたという人はいませんが、十数年前にそういう投資があり、多くの損をした人がいた…といった漠然とした知識でした。私が今から和牛のオーナーになることは事実上不可能ですが、本書の体験談によってまさに疑似体験することができ、知識として吸収することができました。
今後同じような投資の話が出た時に、体験を基にした客観的な判断ができるはずです。
何より文体が非常にライトでサクっと読めるのが、入門書として最適な一冊。
これから投資をしてみようという方、話のネタとして昔の投資に興味のある方
実際に和牛のオーナーになった知り合いのいる方が
クスっと笑える、そんな一冊になっています。