実社会に生きる君へ「ビジネスマンの父より息子への30通の手紙」感想

父親は子供に何を伝えればいいのか?

 

余命を宣告された父親から息子へ送る人生の道を示す手紙

ビジネスマンの父より息子への30通の手紙    新潮文庫

 

「ビジネスマンの父より息子への30通の手紙」

著者:キングスレイ・ウォード /訳 城山三郎 (新潮文庫 1987/4)

 

読了までの時間:約5時間

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さて、書評第一回となる本書は1987年当時にミリオンセラーとなった「ビジネスマンの父より息子への30通の手紙」です。

カナダのビジネスマンであるウォード・G・キングスレイ[Ward,G,Kingsley]がその人生から得た経験を何よりの財産として、息子に伝えるために残した30通の手紙をまとめた一冊。

 

どの手紙も著者が一生かかって体験した中から得た教訓であり重い真実味がある。

もちろん全てが真実ではないが、1人の父親が大手術によって死を実感したことによって残した手紙であるだけに嘘偽りや綺麗ごとは一切ない。

 

なぜ今この本を選んだのか、それはこの本には大学の入学から卒業、結婚、ビジネスにおいて成功する秘訣が父親の経験として全て詰まっているからである。

最近のビジネス書は小分けにしたマナーや話し方などの実例・学び方などが多く、著者の経験をもとにした、本質的な生き方にまで言及しているものは珍しいだろう。

 

かのドイツの名宰相オットー・ビスマルク[Otto,Bismark]はこう述べている。

愚者は自分の経験からのみ学ぶと信じている。私はむしろ、自分の誤りを避けるため、最初から他人の経験を学ぶ方が良いと考える。
Nur ein Idiot glaubt,aus den eigenen Erfahrungen zu lernen.
Ich ziehe es vor,aus den Erfahrungen anderer zu lernen,um von vorneherein eigene Fehler zu vermeiden.

 

 日本では「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と言われることが多いこの言葉

 

まさに本書には父親がこれまで生きてきた中で経験した大きな選択、大学への進学先から友人との付き合い方、就職先の選択方法、取引相手とのやり取り、結婚すべき相手の見つけ方まで細かに人生を生きる上での重要な選択を、「これがいい」「こうすべき」ということなく、そっと後押ししてくれる。

さらには人生の選択だけに限らず惰性的な生き方とは、誠実さの重要性、金銭感覚の養い方、読書の価値など細かなことまで、息子に伝えた手紙が30通収録されている。

 

その全てにただ「こうすべきであるから」ではなく「こうすると人にこう見られる」「こういう自分になることできる」「こういう失敗をしてしまう」と経験から来た実例

を交えているためできていない自分にある種の危機感を覚える

 

さらにこれから様々な年代を生きる息子に対し、その年代で学ぶべきこと、次の年代で生きるために準備しておくべきこと、教訓として知っておくべきことを事細かに述べられている。

 

最初の手紙、息子が学生時代に父が送った手紙に次のような言葉があります。

 

 

夢を見るがいい 試すがいい 失敗するがいい 成功するがいい

 

これは最初の手紙の言葉ですが、私の人生においても一つの重要な教訓になっています。

先程も言ったように本書は人生の様々な選択肢に自信をもつために、将来のために今をどのように生きればよいのかを選択する、後押しをしてくれる指針となってくれる本でです。

ぜひとも若い人に読んで欲しい本であり、人生に迷っている人、父親となる人、もちろん女性にも読んで欲しい一冊です。

 

 

 

ビジネスマンの父より息子への30通の手紙    新潮文庫

ビジネスマンの父より息子への30通の手紙 新潮文庫