「モノを売る」ということの本質とは何か?『ドリルを売るなら穴を売れ』 感想

皆さんも誰かに何かを売ったことはありませんか?

売ったことがない人でも売ろうと思ったことはありませんか?

仕事で、趣味で、ネットオークションで…

人に何かを提供してその対価として金銭をもらう

 

経験のある方ならお分かりだと思いますが、それは単純なようでとても難しいことです。

・今はいらないし

・もっと安ければなぁ

・本当につかえるの?

そんな言葉で断られることも多いでしょう

 

そんな方にオススメなのが本書

 

ドリルを売るには穴を売れ

「ドリルを売るには穴を売れ」

著者:佐藤義典   (青春出版社 2006/12)

 

読了までの時間:約4時間半

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モノを「売る」という事

本書は『モノを売る』ことについて4つの基本的な考え方を、とある商事に勤める「売多真子(うれた・まこ)」がレストラン事業の再生を通して、マーケティングについて学んでいくという内容

本書で紹介する4つの考え方とは何なのか?

以下に本文より引用します。

 

1「ベネフィット」-顧客にとっての価値

2「セグメンテーションとターゲティング」-顧客を分けて絞る

3「差別化」-競合よりも高い価値を提供する

4「4P」-価値を実現するための製品・価格・販路・広告

 簡単に言えば「誰に」「何を」「なぜ」「どのように」「どうやって」売るかという事になると思います。

 

 

「価値」に対して「商品」を提供する

本書の例で言えば、まず「ドリル」を買う人は「ドリル」ではなく

「穴をあける道具」を買っているという事です。

何を当たり前のことを、という感じですがこれこそが売る側が忘れてしまうマーケティングの本質だと本書では述べています。

つまり「穴をあける」という価値こそが、本質であり最も重要であるとしています。

 

「価値」に対する顧客の支払う対価、それは時間であったり金額であったりしますが、それが顧客の欲する価値を超えた時、初めてモノを売ることができるのです。

 

わかりやすい例を私なりに出すと、例えばコンビニの食事は3~500円くらいです。

それに対してお弁当屋の弁当や定食屋のご飯も大体500~700円くらいに収まっています。

これは顧客が「空腹を満たしたい」と考えた時に支払えるコストの結果なのです。

誰でも毎日のお昼ごはんに1000円も払うのは抵抗がありますし、おいしいものが食べたいなら他のところに行きます。

つまり「早く、安く、空腹を満たしたい」ということに価値があり、それに合わせて値段を設定しているわけです。

 

一方で、おしゃれなカフェで飲むコーヒーや高層ビルの最上階のレストランは、その雰囲気や場所性、特別感を価値としているので、割高なわけです。

実際、中心街でなくともコーヒー一杯3~500円くらいのカフェはごまんとありますし、その場所でのコーヒーに価値を見出せない人が「バカらしい」といって家でコーヒーをドリップしたり、そもそも飲まないというのも当たり前な話です。

 

 

まとめ

このように、普段の飲食でも「どのような需要」つまり価値に対して何をどのように提供するか、できるかが非常に大事であり、なるほどと納得させられます。

そんなマーケティングに関わる基本的なことから、実際にどのように価値を届けるか等を実際のビジネスモデルを用いて、紹介しています。

 

本書ではモノを売ることにかかわる全ての人、販売員から個人事業主ヤフオクをやっている人まで、多くの人にとってとても参考になる一冊になっています。

 

ドリルを売るには穴を売れ

ドリルを売るには穴を売れ